さて、次なるプーッコのことを少し書いておきましょう。GWが明けたいま、このプーッコについてはレザーシースを作っている段階です。シースが仕上がって仕上げ研ぎを施しましたら、とあるwebショップのほうに置かせていただこうかと思案しております。無事に完成した後のことは、またここで写真を更新し、情報も追加いたしましょう。
このプーッコ、Lauri社の「スキナー90」というブレードを使用した作品です。現在のところ一本だけを取り寄せての試作のような具合ですが、出来上がりの様子を見て、今後の計画を立てたいと思います。ブレードの鋼材は80CrV2、HRC硬度は59とのこと。ブレード長90ミリ、シクネス3.2、ごらんの通り大きくアールを描いたフォルムが特徴です。スキナーという通り、れっきとしたハンティング・ナイフ。獲物を解体する折りに「皮を剥ぐ」を言う作業に使用されるブレードです。このアールの部分を滑らせるように動かして、皮と筋肉の間の脂肪層や膜を切り裂くためのものです。
私の推測ですが、まだ日本にはほとんど入ってきておりません。Lauri社によるファクトリー・メイドのブレード自体は、じつは入手可能な複数の別なブランドのプーッコに採用されており、国内でも見かけることがあります。けれど、このスキナー90を使用している、または所有しているという情報はいまのところ得られず、キャンプ場やフィールドで「被り」が起きることはまずないでしょう。それほどに珍しいアイテムですが、北欧やロシアのプーッコ・メーカーたちには大人気です。試しに動画サイトなどで検索しますと、実に多数の作品に出合うことができますよ。
拵(こしら)えに悩む、ということが、カスタムナイフやプーッコメイキングの醍醐味ともいえるでしょう。上に書きましたようなこのブレード、美しく飾るか、質実剛健な道具として極めるか、あれこれ考えを巡らせるのです。当初、紫檀系のハンドル材を考えていたのですが、近ごろ取り組んでいる日本の白樫、これで行こうと決めました。強度、木目の美しさ、質感、経年変化による愛着、私自身のメイン・プーッコに白樫を採用してからお気に入りの素材なのです。ボルスターは真鍮ではなくスタッグ・ホーン(今回は蝦夷鹿)。アクセントにブラックのスペーサとブラスを飾りましたが、あくまでも「使うための道具」に徹するデザインです。
ハンドルを組んでから48時間後。手作業で削りを行います。ベルトサンダーで一気に仕上げうよりも、この手作業の削りが楽しいのです。ごりごり、がりがり、素材の中に眠っている道具としての形状を探します。一点作ってしまえば、じつは2本目からは電動工具を多用するのですが、最初はなるべく、なるべく。
途中何度も握っては削り、眺めては削り。この繰り返しです。
いかがでしょうか。日本産白樫材の木目です。大工道具として古くから使われてきた、おなじみの美しさですね。
ここでハンドル表面に満足できたら、ドレメルを使用します。電動のリュータのことです。円形のサンドペーパーを当てながら3000番まで磨きます。あとは亜麻仁油を何度か塗りましてシースづくりへ。
まだ国内では珍しい、Lauri社のSkinner90を採用した白樫ハンドルのプーッコ、完成間近です。シースはトラディショナルな北欧デザインの形状とし、レザーを黒で染めようか、などと考えを巡らせております。まもなく皆様にもご紹介できることでしょう。どうぞお楽しみに。
【追記】
製作中にやらかしまして、ハンドルとブレードの軸がわずかながらに、ほんのコンマ4ぐらいですが、ズレました。やむを得ず自家用とさせていただき、 後日取り寄せるブレードでまた作り直します。
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