春のいち日、沢沿いの道を、少しだけ歩いてきました。
美ヶ原に連なる山塊の片隅に、地元の人でも名前を知らないような小さな沢があります。この沢を詰めて小尾根に乗ると、ある素敵なピークに登れるいわばバリエーションルートなのですが、訳もありまして沢の名前はお許しください。
春のいち日、沢沿いの道を、少しだけ歩いてきました。
美ヶ原に連なる山塊の片隅に、地元の人でも名前を知らないような小さな沢があります。この沢を詰めて小尾根に乗ると、ある素敵なピークに登れるいわばバリエーションルートなのですが、訳もありまして沢の名前はお許しください。
薪ストーブの普及やキャンプでの焚き火人気のためか、斧を買い求める方が増えています。あるとき県内の有名な薪ストーブ屋さんを覗くと、数万円の洋斧がたくさん展示されてました。うわあ、いまさらながらに、ブランド斧の人気の高さを実家することができました。
私の家には薪ストーブはありませんが、ご近所の友人のお宅には、薪ストーブや高級洋酒のキャビネット、おっと、お玄関先には高級ドイツ車を守る屋根まで、素晴らしい設備(財産とも申します)があります。あるとき、ちょっとお邪魔して薪割りをお手伝いさせていただいたのですよ。決して汗をかいた後の冷えた泡が欲しかったからではありません。庭先の丸太台の上に立てた丸太に、斧がスパァンと喰い込む、瞬時にパカァンと割れる、そんな光景を思い描いて。ところが、友人が割ろうとしても、私が替わっても、喰いつくばかりで鮮やかには割れてくれません。私は斧頭を眺めて、その理由がわかりました。
友人の斧は、斧であって薪割ではなかったのです。
彼は高額なドイツ車を所有しながらも、薪割を持っていなかったということです。
実はこれらの斧や薪割は、古道具市などで見つけては買い求めたものです。真っ赤に錆びついたようなものも多く、また作られ方があまり丁寧でなく腐食や損傷が進んでいる物もあります。そんな中から腕のいい職人が鍛えたものを探し出しては、集めているのです。私もそろそろ、と鍛冶仕事でこういったものを作るための勉強をしており、その一環で古い道具たちの作られ方、使われ方、手入れの仕方などを学んでいる訳です。
これは先日、近くの湖のほとりの木陰で、ファットウッド、松脂の詰まった枝の採集加工を行っていた日のひとコマです。鋸で切り出した【ファットウッド】から、本記事で取り上げた手斧を使って不要な部分を削り落とし、手製のプーッコで仕上げた様子です(このプーッコのことは別な記事でご紹介しましょう)。手斧の柄は北海道産のタモの端材を使用しました。
柄を削る作業では、国内では珍しいドロップポイントのプーッコを使用しています。これも手製なのですが、仕事に使ってみると道具としてのいろんなことが理解できるものですね。木の素材の「アールの内側」を削るときには、これが本領を発揮します。まさにクラフトの為のプーッコ、複雑な曲面を削りだしていくためのブレード形状です。これについても別項でご紹介することにいたしましょう。
【斧】と【薪割】の話から随分と脱線してしまったようです。
引き続き各地の古道具市を覗いて回ります。斧頭を見つけたら、出来の良いものをリメイクし、しっかりと研ぎ上げてあらたな柄を拵え、ご希望の方にはお届けできる日も近いと思います。もう少しだけ、お時間をください。
曾祖父が戦前に、九州の炭鉱のまちで野鍛治を営んでいました。
もう昔のことになりますが、高校の学習課題で身近なご先祖の生きざまなどを調べてこいとなって、週末汽車に乗って曾祖父の縁者の家に泊まり込みに行き、いろいろ聞き出したりまとめたりしたことがあります。曽祖父は鍛冶屋で大工仕事もこなしました。その長男は大工になり、孫は関西で欄間職人になっています。もう引退したでしょうか、交流も途絶えてしまいました。
曾祖父、初代作次郎が鍛えた工具や道具は、いま私の手元にはありません。田舎の家にあった玄翁や鎌の記憶は、道具たちと同じように錆び付いてしまっているか、朽ち果てているだろうと思います。
時を経て、いま私が野外道具を工夫して手作りしたり、できない仕事は誰かの世話になったりではじめるようになって、曾祖父から何がしからの物を受け継いでいけるだろうかと自問しています。道具を作ること。誰かの仕事を助けること。二、三年のうちに鍜治場をこしらえて鍛造を行うこと。私に残された時間の中でどこまでやれるかはわかりません。それでも新しいことを含めて、手を動かしていこうと考えています。
写真は、フィンランドのブレードメーカー、Lauri社のカーボンスチールを採用したプーッコ。欅の瘤材とレザーワッシャーでハンドルを形成。一年使用したのち、親友に贈りましたた。2019年8月製作。
火打袋が欲しい。 火打石による着火を、ブッシュクラフターのスズキサトル師匠から教わって以来、火打金や火口を仕舞っておく袋を欲していました。便利に使えるだけではなく、愛着が湧く、森や野に過ごす時間の相棒です。 これらは過去に作ったものですが、間に合わせの端切れを縫い付け...